トラック運転手の労働時間はどれくらい?
運転時間や拘束時間は長いの?
本記事ではあなたのこんな疑問にお答えします。
- トラック運転手の労働時間
- 労働時間の問題点
- 労働時間の改善点
- 16時間を超えて運転した場合の罰則
トラック運転手は、長距離運転の影響から全職種の中でも長時間労働が問題になっています。
トラック運転手一体どれくらい働いているのか?今後改善されるのかについても解説しているのでぜひ参考にしてください。
当ブログ「toradorablog」の筆者は現役トラック運転手として7年働いています。それらの経験をもとに解説します。
トラック運転手の労働時間は何時間?
トラック運転手の労働時間とは、運転時間と休憩時間を合わせた時間のことです。
厚生労働省が公表している「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」により、トラック運転手の労働時間は以下のように決まっています。
- 1日の労働時間は13時間以内(最長16時間以内)
- 休息期間は継続8時間以上(退社してから出勤までの時間)
- 連続運転時間は4時間以内(休憩は30分以上)
- 1日の運転時間は2日平均で9時間以内
- 1週間の運転時間は2週間平均で44時間以内
- 残業は1週間40時間以内(1日8時間以内)
上記の制限はトラック運転手の健康や安全を守り、交通事故のリスクを減らすことを目的としています。
長時間の運転や短い休憩時間が続くと、運転手の疲労やストレスがたまり、事故や健康被害のリスクが高まってしまいます。
そのためドライバーが運転時間や休憩時間を適切に守ることは、安全な運転につながるのです。
トラック運転手の労働時間に関する問題点とは?
厚生労働省が発表した調査によると、トラック運転手の時間外労働時間が1日あたり4時間超~7時間以下」と回答した運送業者は14%あり、「7時間超」と回答した運送業者は4.3%も存在することが判明しました。
つまり合計18.3%の運送業者は1日あたりの時間外労働時間が4時間を超えていることになります。
以上のことからトラック運転手の労働時間は他業種に比べて長く、以下のような問題があります。
- 長時間運転による疲労やストレスが原因の交通事故や健康被害
- 労働時間の過剰な拘束により、家族との時間や休息時間が確保できない
- 長距離運転手は車中泊を余儀なくされるので疲れが溜まりやすい
これらの問題を解決するためには、適切な労働時間の設定や休息時間の確保はもちろんですが国からの政策が不可欠です。
トラック運転手の労働時間違反に対する罰則
トラック運転手の労働時間は法律で定められており、違反すると罰則があります。
労働時間が法律に違反すると、運転手や運送会社に対して罰金や業務停止などの制裁が課せられることがあります。
労働時間の違反が事故につながった場合は運送会社はもちろん、運転手や運行管理者に対しても刑事罰が科せられます。
そのため運転手や運送会社は法律に基づいた適切な労働時間管理を行い、安全な運行を心がけることが何よりも大切です。
トラック運転手の労働時間の適正化に向けた取り組みとは?
トラック運転手の労働時間は長く、過労による事故も多発していることが社会的に問題になっています。
そのため、適正な労働時間の確保が求められています。
他にも多くの運送会社では労働時間の適正化に向けた取り組みとして、運転時間の制限や休憩時間の確保、運転前の健康チェック(アルコールチェック)などを行っています。
そして運転手自身も、疲れを感じたらはやめに適切な休息や睡眠をとることが大切です。
近年の運送業は、いままで以上に運転手の健康管理や労働環境の改善にも取り組むことでより安全で快適な運転環境を実現することを目指しています。
トラック運転手の労働時間に関する調査結果
厚生労働省のトラック運転手の労働時間に関する調査によると、多くのトラック運転手の過剰な労働時間が明らかになりました。
特に長距離運転を行うドライバーは、運転時間が長くなるにつれて疲労がたまり、交通事故のリスクが高まることが指摘されています。
こういった問題を改善するために2024年からさまざまな政策が適用されるようになりました。
トラック運転手の平均労働時間
トラック運転手の平均労働時間は1日あたり10時間から12時間程度であり、週には50時間から60時間程度です。
ただし、長距離運転や急ぎの配送などの場合はさらに労働時間が長くなることもあります。
労働時間が長いトラック運転手の割合
厚生労働省の調査によると、トラック運転手の労働時間が1日12時間以上の割合は約30%にも上ります。
そして1週間の労働時間が60時間以上の割合も約20%に達しています。
労働時間が長いトラック運転手の健康被害
トラック運転手は長時間の運転や、不規則な生活リズムにより健康状態が悪くなりやすいです。
たとえば運転中の疲労やストレス、運動不足、不規則な食生活などが原因で以下の病気にかかりやすくなります。
- 肥満
- 眼精疲労
- 椎間板ヘルニア
- 重度の肩こり
- 高血圧
- 糖尿病
- 心臓病
【2024年問題】トラック運転手の労働時間の削減方法
2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されていることの総称です。
トラック運転手の労働時間を減らすためには運転時間を始めとしたさまざまな改革が必要となるため、2024年1月時点では以下のような対策が始まっています。
- 東京~大阪間に中継地点(三重県など)を作り、それぞれの出発地点に帰る方法(トレーラーなど荷台の切り離しが可能な車両が現実的)
- 鉄道を利用するモーダルシフト
- 1車両につき運転手2人運行
- 自動運転
- ダブル連結トラック
上記の対策だけでなく運送業界ではIT化が進んでおり、アルコールチェックや点呼をPCと接続して行っています。
IT化により記録が残るため、労働時間をごまかしたり、運転免許の不正ができなくなります。
さらにデジタルタコグラフを活用することで、運転時間や休憩時間を正確に記録が可能です。
デジタルタコグラフは運転データを記録するだけでなく、運転状況の分析や運行管理にも役立つため運転手や運送会社にとってデジタルタコグラフは欠かせないツールとなっています。
以上の改革により運転手の健康管理や安全面の向上につながります。
トラック運転手の労働時間に関するよくある質問
トラック運転手の労働時間に関するQ&Aについて、以下のような内容があります。
トラック運転手は1日何時間運転できますか?
トラック運転手の1日の運転時間の上限は2日連続で最大9時間、1日の連続運転時間は最大4時間となっています。
そしてトラック運転手の1日における拘束時間は原則13時間となっています。
延長する場合においても最大16時間と決められており、1週間における15時間を超える回数は2回までです。
トラック運転手は働いた分だけ給料が稼げますか?
トラック運転手は歩合給や残業代で稼げるため、働いた分だけ稼げる傾向にあります。
トラック運転手の年収は以下の記事でくわしく解説しているのでぜひ参考にしてください。
トラック運転手の労働時間が1日16時間以上超えた場合どうなりますか?
トラック運転手が16時間以上運転したことが確認された場合、運送会社に警告や罰金が課せられる可能性があります。
そのため運行管理者はドライバーが16時間を超えて運転する場合、即座に運転を停止させ適切な休息を取るよう指示しなければなりません。
ドライバーにとっての長時間運転は疲労を著しく増加させ、事故のリスクを高めるからです。
厚生労働省が公表している「トラック運転者の労働時間等の改善のための基準」によると、ドライバーの1日の労働時間は基本的に13時間以内、最長16時間までと決まっています。
そのため、運行管理者はドライバーが絶対に16時間を超えないよう運行計画を立てるようにしましょう。
運行管理者が16時間を超えて無理に運転させた場合はどうなりますか?
運送会社に警告や罰金が課せられる可能性があります。
また、運行管理者も罰せられることもあるため16時間を超えた時点で即座に運転を中止し、休息を取らせるべきです。
まとめ:トラック運転手の労働時間は短縮されてきている
2023年まではトラック運転手は長時間労働の代名詞的存在でした。
しかし、人手不足や2024年問題により徐々に改善されてきており、トラック運転手の労働環境は良くなってきています。
労働環境が良くなれば若い世代から人が入ってくるようになり、運送業界はさらに良い方向に向かっていくでしょう。